『ディラック現代物理学講義』
P. A. M. Dirac 著 ちくま学芸文庫
なんつーか、俺の物理観はディラックから来ているといわれても何も文句は言えないなと思ったのが正直なところ。
繰り込み理論とかで満足しちゃってる物理学者何なの?(←第二章の要約)
第三章のモノポールについては、非常に勉強になった。
そりゃ直感的にもモノポールが存在したほうが理論のつじつまが合うよねぇ。
電荷はモノポールがあるのに磁荷は無いことの理由は宇宙誕生時のインフレーション理論で説明できるらしい。
第四章は相対論的量子力学のDirac方程式の簡単な復習として読ませてもらった。しかし第二章で軽く場の量子論に触れているから、Dirac方程式は要らないような気もする。俺は場の量子論が分からないのだが。
第五章は『巨大数仮説』。微細結合定数と巨視的な力を代表する万有引力定数Gの間に適当な、たとえば宇宙年齢が関係しているのではないかというお話。
ディラック厨の私といえどもこれはさすがに危ないのではないかと思ったww
検証の仕方が思いつかないのは俺の頭が悪いからだとしても、ディラック先生の頭の中にはロマンがいっぱい詰まっているなぁとしか思えない。ちょっと危なくはないかね。考えるのは自由だけどさ。
総合すると、基礎的な物理の素養があれば、第四章を除けば理系ならどんな人でも読めると思う。物理的な美しさを追求することを概観したい人には勧められる。